Summary
いじめ、努力、失恋、孤独、辛い、悲しい、死にたい
その時
問われる質問はたった一つ
己の自灯明は何だ?
Transcription
【0:00】努力をしている瞬間
事業、試験、人の死、いじめ。
多くの人にとって、努力を人並外れてしている瞬間というのは
恐ろしいほどのストレスがかかり、大好きだった動画や音楽や支えだった人さえも、全てが生々しすぎる現実の前で、無力化します。
我々は頼るものが無くなった小動物のように、深すぎる闇に追い込まれていくのです。
朝起きれば、慢性的な疲労と体調不良。
常に抱えるモヤモヤで、腹痛・冷や汗・幻聴―
「もう、無理かもしれない」
そういう感情が、何度も頭をよぎる。
寝る事が一番の楽しみで、寝るために一日を起きる。
例えば、受験勉強。
本物の努力をするとき、多くの人は頼るものを無くし、孤独に溺れます。
見たこともないような分厚い参考書、今までにないピリついた空気、帰れば隠れてゲームもすぐに罪悪感に、何度もやる気を起こし頑張るが、幾度となく頭をよぎる―
「俺には無理かもしれない」
経営者もそうです。
急激に変化する時代の中で、強烈な責任に押し潰されそうになりながら、合っているかも分からないやり方で、一日中誰かのために数字を追い続ける。
それが経営者です。
生きていれば誰にでも訪れ、きっと大小あれ皆さんも経験している事でしょう。
頼る人が誰もいないという瞬間、それは
離婚したときの経済的孤立感や、親離れしたときの闇に一人置いて行かれたような孤独感、虐められたときの誰にも言えない惨めな孤独感
そういった瞬間にも、訪れます。
【1:20】看却下
これは禅の言葉で、自分の足元をよく見るという意味です。
昔、法円というお坊さんが居ました。
あるとき、この法円というお坊さんが弟子たちを連れ夜道を歩いていました。
昔は今の通りのように街灯が多くあるという時代ではなかったので、夜道に頼りになるのはロウソクの光だけでした。
しかし夜道は寒く風も吹いており、サーっと吹いた風により、ロウソクの火は消えたんです。
そのロウソクを見て法円という和尚さんは、連れていた弟子たちに、すかさず聞いたのです。
「さて火は消えた、お前たちの心の悟りの境地を話せ」
火が夜道に消えたのを見て、さてどうするか。
つまり火が消えたという事に対して「お前たちの思う所を話せという」鋭い質問が来たのです。
この法円の急な問いかけに対し、三人の弟子たちの一人、仏果園悟という弟子がこう答えました。
看却下
つまり「足元をよく見て歩きます」そう言ったのです、一見当たり前の話ですよね。
夜道で風が吹き、ロウソクの火が消えた。
さてロウソクの火が消えたら、お前たちはどうするか?
恐らく私達は普通、このロウソクの火が消えれば、また火を付けますよね?しかし仏果園悟は、違った。
「足元をよく見て歩きます」
この答えにお師匠の法円は、非常に満足しました。なぜか?
仏教の世界では、師匠の心理の教えとして
【法灯明】その灯、光を、大事にし続けなさい
という教えがあり、けれども同時に
【自灯明】あなた自身の自分の光を、大切にしなさい
という教えがある事に気づけたからです。
【2:50】努力とは何か
ここからが、重要です。
努力をすれば、その努力に比例した量の孤独感がやってきます。
そのとき頼れるのは、法灯明―誰かの教えかもしれません。
しかし、それは長く続きません。
現実は非常に過酷で、どれだけ法灯明―誰かの教えを唱えたところで、ビクともしない壁が世の中には無数に存在し
その壁にぶつかるたびに自分の無力感を、涙がこみ上げるほど痛感し、孤独感に苛まれるからです、そのとき
理屈じゃなくてつらい、理屈じゃなくて思いとして苦しみ、として自分の中にある
だから、泣けてくる。
【3:22】自灯明を灯すという解決策
処方箋
もしそのとき、涙が出てきたのなら、泣いてください。
でも泣きながら、自分の心の中に灯を灯してください。
「自灯明」
誰かの言葉ではない、自分の信じる灯を。
私たちは歴史の中で何度も同じことを繰り返しています、昔の人達が考えていた事は、今私たちが考えていることとほとんど変わりません。
例えば仏教の中では、人生は夜道に例えられます。
冒頭でお話ししました
「法円が持っていたロウソクが夜道で急に消えた」
仏教の世界では、夜道というのは人生なんです。
もともと真っ暗な人生なんです、そのとき急に、お師匠という灯が消えた。
「さてお前たちは、どうする?」
そのとき仏果園悟は、それを敏感に感じ取りました。
【4:06】last
「自分の足元をよく見て歩きます」
つまり「私たちは自分の心の中で師匠を灯にするのではなく、自分の心の中に自分の灯を灯します」という事です。
もしあなたに今、誰も頼れる人がいないなら
あなたは今、人生という夜道に困難という夜風が吹いて、その灯が消えた状態です。
「処方箋は、看却下」
己を灯として燃やす人間は、多くの人に伝染し
考えられないほどの、結果を残します。