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【00:00】ケース1
介護ホームでアザができるほど殴られたスタッフ、以前ツイッターで話題となりました。
認知症の利用者にアザができるほど殴られ、その後相手家族に相談したら逆に強いクレームを受け、担当を外されたという出来事。
このスタッフは、そのまま退職。
こういったように、優秀なスタッフが急に辞めることは一度や二度ではなく、今まで何十回と繰り返されてきた。
しかしそれは全て、施設が揉み消してきた。
障がい者などを19人殺した戦後最悪の事件も、こういった介護の闇を世間に広めるために起きた。
スタッフが殴られて、施設は揉み消し、またスタッフが殴られる―
【0:36】ケース2
介護ホームでアザができるほど殴られた利用者、障がい者への暴言・暴力、食事の制限など、職員が利用者へ心理的虐待をするケースは珍しい事ではなく
例えば子供を施設に預けるというのは、親が歳をとり、面倒を見きれないというパターンが多く、そこで虐待が起きても親は「預かってもらっているから」という理由で、虐待の事実を黙殺する。
悩み苦しむスタッフと、迷いの生存を続ける利用者。
これが今の日本の、介護業界の現状です。
勿論この2ケースが全てでは無いですが、認知症、障がい者、こういった人間の相手を毎日する職場では、良い、悪いという常識を超えた常人には理解し難い事が当然起きています。
この前提を踏まえた上で、介護職が社会の底辺と呼ばれる理由、至ってシンプルです。
「認められないから、介護職は職業として認められないから、社会の底辺と言われるのです」
動けなくなった人間の、下の世話をする。
それを日本社会では、仕事やビジネスという括りではなく、倫理的タブーという扱いをする。
ちょうどYouTubeという媒体が3年前までは「子供の遊び」という扱いであったように、介護職は今「倫理的タブー」という扱いを受け、正当な社会的地位を確立できていない。
しかし社会的に認められないなどと、そんな事を言っている暇は我々には無いのです。
我々はほぼ確実に、今後この業界と関わる事になる。
今元気な親も、歳をとれば言葉を話す事が困難となり、介護を必要とする瞬間が遅かれ早かれ、必ず来ます。
その時選択肢に上がる介護施設に、満足に意思表示できない親を、あなたは安心して預けられますか?
また我々は2足歩行で当たり前のように歩いていますが、明日交通事故に遭い、両足麻痺の車椅子生活になれば
その時あなたの下の手伝いをしてくれるのは、近しい人か、介護施設のどちらかです。
我々はこの人生の延長上で、遅かれ早かれほぼ確実にこの業界と向き合う事になる。
そのとき、未来のないボロボロの業界に、安心は存在するのか。
介護業界の抱える、最大の欠陥は2つです。
- 低すぎる収入
- 継続困難な労働環境
【2:43】~介護業界「低すぎる収入」
介護業界の月収は一般的に18万~30万と言われていますが、この金額が仕事内容と見合っているかというと、見合ってはいません。
少なすぎるのです。
介護業界には「給料を捻出するシステムそのもの」に大きすぎる欠陥がある。
そもそも介護業界が労働者に渡す給料は、介護保険制度から捻出されており、流れは
介護保険⇒事業所⇒介護士
というように、介護保険から事業所が報酬を得て、その中から介護士に給料を出す、という流れを取りますが、しかしここで問題なのが
「介護士に給料を払う財源が足りていない」という事です。
元々介護保険は、労働者から徴収した
保険料+税金
で成り立っていますが、今後日本は少子高齢化で、この労働者が減少していくのです。
故に介護保険は、労働者が納める金額より、使う人の方が多くなるため、その中で工面される介護職の給料は―
減給する事はあっても
昇給する事は、まず無い。
つまり介護保険制度の見直しがない限り、介護業界の金銭的問題の解決は無い。
【03:46】介護業界「継続困難な労働環境」
それに加えた、継続困難な労働環境。
そもそも介護業界が「社会の底辺」と偏見される大きな原因の一つが「誰にでもできる代替可能な職業」と揶揄される所にあります。
実際かつてから介護業界は「様々な理由で仕事が消滅した人たちの最後の受け皿」として機能してきた事は事実であり、誰でもなれる仕事としては有名です。
しかしなぜ誰でもなれるはずの介護職が、人手不足に陥っているのか?
介護業界の2つ目の問題が「継続困難な労働環境」です。
その実態を冒頭でも述べましたが、異質の一言です。
また多くの人は介護職と聞いて、下の世話や食事といった肉体労働に目がいきますが、実際はそれ以上に
PC上での書類作成や、求められる責任から来る重圧などの、精神的疲労の方が激しく、それに2年間耐えられる者は、ほとんどいない。
介護職は代替可能であるため、考えられない程多くの人が就職経験を持つが、継続できた人は一握り。
故に常時、人手不足が続く。
【4:50】介護業界「偏見」
ここで少し話が変わりますが、大学生、高校生の方は知っておくと、近い将来得する話です。
損保ジャパンという、保険会社での興味深い出来事。
経営者の方はご存じかと思いますが、日本の会社はスタッフ・社員の首を切る事が非常に難しく、首を切る為には、法律上3条件が必要なんです。
- 十分な指導を行った上で
- 能力向上の見込みがない
- また他社員と比べ、極めて能力が低い
という3条件を満たさなければ、首を切ってはいけないルールがある。
そのため日本では、こういった現象がよく見られる。
上場後上手くいっていた会社が、急に傾き出す。
殆どの原因は、人材確保の失敗。
能力のない社員が一定数集まると、経営不振に陥りやすくなる。
故に社員を抱える多くの大企業は、業績の悪い者を辞めさせる為にあらゆる手段を尽くす。
そして、損保ジャパン。
この保険会社の子会社には、介護事業を行っているものがあり、損保ジャパンが行った大技が
「能力の無い人間を、介護事業の子会社に転部させる」というもの。
そもそも保険会社は、一流の大学を卒業し、保険一筋できたタイプが多く「明日から介護の仕事をして下さい」などと言われても、プライドが許さない。
故に子会社への転部を言い渡されるとともに、自ら辞職を選択する人が多く、又介護側も人手不足という事もあり、完璧なシステムとして成り立っている。
従来は、敢えて仕事を与えず社内ニート状態を作り出したり、敢えてきつく当たり鬱状態にしたりと、様々な手段が取られたが
時代の変わり目とともに「それはよくない」という風潮が強まり、経営者もどうしようもなく手をこまねいていたが
損保ジャパンの仕組みは、このビジネス業界に衝撃を与えました。
「介護をやらせるなんて、可哀想」とは誰も言えない。
故に転部を言い渡すだけで、合法的に、いつでも首を切る事が可能になった。
つまり何が言いたいかというと、経営者目線、ビジネスというフィールドの視点から見ても、介護業界は扱われ方が異常であるということ。
またこれは個人レベルでも起き、介護の仕事をしていると「凄い」や「よく続けられるね」などと言われる。
そして、傷つく。
介護業界に今必要なのはお金以上に、敬意や社会的理解であり、この業界はお金どうこうではどうにもならない。
我々一人一人の敬意や、理解で支えられる
特別な職種の一つ、だと思います。
生きるを構成する全ての職種へ敬意を払う
まずは会釈から全ては始まる
by ピエロ