【00:00】失敗を恐れるのは「褒められた子」
脳科学者が語る「褒めて育てる」の危険性。
「褒めて育てる」教育が基本となっている現代、子どもに厳しく叱ったり、苦言を呈したりすることに難しさを感じている人は少なくないと思います。
一方で甘やかしすぎたら「甘やかしてて本当に成長するの?」と疑問を持っている方も多いと思うんです。
そこで今回は「褒め方でどんな弊害があるのか?」「どういう褒め方をしたらいいのか?」を紹介したいと思います。
これは全員見るべき動画です。
【00:26】チャレンジ心を試す実験
1990年代コロンビア大学のミューラーとデュエックにより「褒め方によって、子どもたちのチャレンジ心や態度がどのように変化するかが分かる実験」を行ったのです。
10歳から12歳までの子どもたち約400人に知能テストを受けてもらい、実際の点数は伏せた上で「あなたの成績は100点満点中80点だった」と全員に伝えます。
そして子どもたちを3つのグループに分け、成績以外に子どもたちに伝えるコメントを次のように変えました。
- グループ1
「本当に頭がいいんだね」と褒める - グループ2
「努力のかいがあったね」と褒める - グループ3
何のコメントもしない
さらに追加でその後子どもたちに「誰でも解けるようなやさしい問題」と「難しい問題」のどちらかを選んでもらい、チャレンジしてもらうのです。
これ本来なら「より褒められた人が、より難しい課題にチャレンジする」と思いがちなのですが、結果は―真逆だったのです。
- 「頭がいいね」と褒められたグループは約6割の子が難しい問題を選ばず、簡単な問題を選び
- 「努力をしたね」と過程を褒めた子は、約9割の人が難しいチャレンジをした
- また「何も言わなかった」グループは半々に分かれた
「頭がいいね」と褒められることが、子どもたちから「難しい課題」をやろうとする「気力」を奪い、より良い成績を大人たちに確実に見せられる「やさしい課題の選択」へ褒めることが「圧力」として働いた。
さらに衝撃的なことに、この難しい課題での自分の成績をみんなの前で発表させたところ、「頭がいい」と褒められたグループ1の子どもの約40%が「本当の自分の成績より良い点数」を報告したのです。
つまりグループ1の4割の子どもが「自分を良く見せようとしてウソをついた」ということです。
ちなみに何も言われなかったグループ3では、ウソをついた子どもの割合は約10%でした。
褒められた子どもたちは難しい問題を避けるばかりか、「頭がいいという自分の評判」を落とすことを恐れ、ウソをつくことも厭わなくなった。
この実験結果が「褒めて育てる」ことへの警鐘となることは間違いないでしょう。
【02:13】「頭が良い」と褒められ続けた子どもたちの末路
さらに実験者のミュラーとドゥエックによるグループ1の子どもたちへの見解を、次のように教えてくれました。
- 「頭がいい」と褒められた子どもは「自分は頑張らなくてもよくできるはずだ」と思うようになり、必要な努力をしようとしなくなる
- 「本当の自分は『頭がいい』わけではないが、周囲には『頭がいい』と思わせなければならない」と思い込むようになる
- 「頭がいい」という評価から得られるメリットを維持するため、ウソをつくことに抵抗がなくなる
この研究を踏まえたうえで「頭がいい」という褒め言葉に、直接的に、も間接的にもさらされ続ける環境で教育を受けてきた「優秀な子どもたち」は、日本で今どのようなポジションについているのか―皆さんも考えてみてください。
「捏造」「改竄」「記録の紛失」「記憶違い」―これは大人も子供も関係ないのです。
【02:56】結果を出す力を育てる褒め方
つまり褒め方には工夫が必要で「結果を褒める」という行為をすると、われわれ人間は結果には直接関与ができないので「結果を簡単に出す」方に思考がいってしまうのです。
例えばオリンピック選手はどれだけ練習しても、練習で出した自己ベストを大会で更新することはほぼないわけです。受験勉強をどれだけしぬきでやったところで、テスト結果がどうなるかなどは分からないのです。
我々は「過程」には関与できるが「結果」には関与できない。だからこそ「結果を褒めること」はあまり好ましくないのです。
それは子供も同じです。結果というのは「その子の元々の性質」ではないのです。
その「努力」や「時間の使い方」「工夫」などの「過程に着目して評価をすること」がチャレンジ精神を育て、望ましい結果を引き出すことに繋がるのです。
我々も自己評価をするとき、ついつい出した結果を見てしまいがちですが、出した結果を自分で称えてしまうと結果が出ないときに偽りの自分を作ってしまう。
長く結果を出し続けたいなら、過程で自己評価することを強くおすすめします。